貨幣発行の仕組み

貨幣の仕組み

はじめに

このあたりで、貨幣発行の仕組みについて整理しておきましょう。

貨幣の定義で述べたように、当記事での「貨幣」とは、日銀当座預金、日本銀行券、硬貨(補助貨幣)及び銀行預金とします。

これらのうち、日銀当座預金及び銀行預金は「情報」であって、実体のある何らかの物体ではありません。これらは無から創造することができ、原理的には無限に発行することができます。

また、日本銀行券は「印刷物」、硬貨は「金属片」です。これらの発行には、紙とインク、金属材料等が必要ですが、実質的には無限に発行することができるといえるでしょう。

日銀当座預金及び日本銀行券は、その名の通り日本銀行が発行します。

硬貨(補助貨幣)は、日本政府が発行します。

銀行預金は、それぞれの民間銀行が発行します。

当記事では、発行主体ごとに貨幣発行の仕組みについて説明します。

日本銀行による貨幣発行

日本銀行は、日銀当座預金及び日本銀行券を発行します。それぞれについて説明します。

日銀当座預金

日銀当座預金は、日本銀行の職員がキーボードを打つことによって発行されます。つまり、日銀当座預金を発行するのに労力を要しません。私でもできそうです。

それでは、どのようなときに日銀当座預金が発行されるのでしょうか。典型的には、政府が発行した日本国債を買い取るときが挙げられます。

なお、日本銀行が新規に発行された日本国債を直接買い取ることは、財政法5条で原則としては禁止されています。

しかし、国債の一種である「国庫短期証券」については日本銀行の直接買取りができるそうです。国庫短期証券については他の記事で考察しています。

日本銀行が日本国債を買い取る場合、日銀当座預金を介して決済が行われます。つまり、日本銀行は、政府から日本国債を引き受けるとともに、その買い取り額だけキーボードを打つことによって政府名義の日銀当座預金(政府預金)の残高を増やします。

そして、政府は政府預金を用いて財政支出をします。

他に日銀当座預金が発行される場合として、公開市場操作が挙げられます。これについては、日本銀行の業務で述べました。

日本銀行は、金融機関が保有する既発国債等を買い取る(買いオペ)ことにより、金融機関の日銀当座預金の残高を増やします。やはりこのときも、日本銀行は、国債の買い取り額だけキーボードを打つことによって金融機関の日銀当座預金の残高を増やします。

日本銀行券

日本銀行券は、国立印刷局で製造され、日本銀行に納入されます。日本銀行の本支店には、大量の日本銀行券の在庫が眠っているそうです。

とは言え、これらの在庫はこの時点では単なる印刷物で、額面だけの価値を有する貨幣ではありません。

これらの単なる印刷物が日本銀行券に昇格するのは、民間銀行が日銀当座預金と引き換えに日本銀行券を引き出したときです。

そして、私たちが民間銀行の窓口やATMから銀行預金と引き換えに日本銀行券を引き出すことにより、日本銀行券は日本国内で流通を始めます。

日本政府による貨幣発行

硬貨は、政府が造幣局で製造させた後、日本銀行に納入されます。硬貨の場合、日本銀行に納入された時点で、単なる金属片から硬貨に昇格します。

民間銀行による貨幣発行

銀行預金は、民間銀行の行員がキーボードを打つことによって発行されます。つまり、銀行預金を発行するのに労力を要しません。私でもできそうです。

それでは、どのような仕組みで銀行預金が発行されるのでしょうか。典型的には、他の記事で述べた「信用創造」です。詳細についてはこの記事を参照して頂きたいと思います。

民間銀行は、取引先の企業等に資金を貸し出す際、その銀行預金の残高をキーボードを打つことによって増やします。つまり、民間銀行は、その貸出額だけの資金がなくても貸し出すことができます。

貸出を受けた企業等は、その銀行預金と引き換えに日本銀行券を引き出すことができます。引き出された日本銀行券は日本国内で流通を始めます。

まとめ

貨幣発行の仕組みについて説明しました。当記事では、日銀当座預金、日本銀行券、硬貨及び銀行預金を「貨幣」と定義していますので、これらの発行について説明しました。

ここで特に、銀行預金も貨幣と定義しています。ということは、日本政府や日本銀行でなくても貨幣を発行することができます。実際、民間銀行が発行した銀行預金は、預金者がそれを引き出す形で日本銀行券と交換することができます。

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