特許法:「正当な理由」及び「責めに帰することができない理由」まとめ

弁理士

正当な理由

「正当な理由」とは

「正当な理由」について、青本では次のように定義されています。

PLT12条(1)の「DueCare」に相当するものであり、特許法121条(拒絶査定不服審判)等に規定された「その責めに帰することができない理由」より広い概念を意味するものである。例えば、出願人が病気で入院したことにより手続期間を徒過した場合や出願人の使用していた期間管理システムのプログラムに出願人が発見不可能な不備があったことにより手続期間を徒過した場合等が「正当な理由」があるときにあたる可能性が高いと言えよう。

青本

正当な理由のまとめ

正当な理由がある場合の救済について、救済の対象となる場合、救済の内容等を以下にまとめます。

なお、今のところ備考欄は充実していませんが、今後気が向いたら準用する条文を入れておきます。

条項救済の対象となる場合救済の内容備考
(特許出願)
第36条の2第6項
外国語書面(図面を除く)の翻訳文を第4項に規定する期間内に提出せずに出願が取下擬制された場合。経済産業省令で定める期間内に限り、提出することができる。通知が来て1回目の救済(4項)。
6項は2回目の救済。
(特許出願等に基づく優先権主張)
第41条第1項第1号かっこ書き
国内優先権主張を伴う出願を先の出願の日から1年以内にすることができなかつた場合。国内優先権を主張することができる。
(パリ条約の例による優先権主張)
第43条の2第1項
優先期間内にパリ優先権の主張を伴う特許出願をすることができなかつた場合。経済産業省令で定める期間内に出願すれば、パリ優先権を主張できる。
(出願審査の請求)
第48条の3第5項
審査請求をすることができずに出願が取下擬制された場合。経済産業省令で定める期間内に限り、審査請求できる。
(審議会の意見の聴取等)
第85条第2項
特許発明の実施が適当にされていない場合。裁定通常実施権を設定できない。
(書類の提出等)
第105条
侵害訴訟において裁判所が必要な書類の提出を命じるが、書類の所持者が提出を拒む場合。提出命令を免れる。
(査証報告書の写しの送達等)
第105条の2の6第3項
査証を受けた当事者が、査証報告書の全部又は一部を申立人に開示しないことを申し立てた場合。査証報告書の全部又は一部を申立人に開示しない。
(特許料の追納による特許権の回復)
第112条の2第1項
特許料及び割増特許料を納付することができなかつた場合。経済産業省令で定める期間内に限り、特許料及び割増特許料を追納することができる。
(外国語でされた国際特許出願の翻訳文)
第184条の4第4項
国内書面提出期間内に明細書等翻訳文を提出することができなかつた場合。経済産業省令で定める期間内に限り、明細書等翻訳文並びに第1項に規定する図面及び要約の翻訳文を提出することができる。
(在外者の特許管理人の特例)
第184条の11第6項
特許管理人の選任の届出をすることができなかつた場合。経済産業省令で定める期間内に限り、特許管理人を選任して届け出ることができる。
正当な理由のまとめ
私

1年以内に国内優先権主張を伴う出願ができそうになければ入院しましょう。

責めに帰することができない理由

「責めに帰することができない理由」とは

「責めに帰することができない理由」について、青本には次のような記載があります。

天災地変のような客観的な理由にもとづいて手続をすることができない場合が含まれるのはいうまでもないこととして、通常の注意力を有する当事者が通常期待される注意を尽くしても、なお納付期間を徒過せざるを得なかったような場合は、主観的な理由による場合であってもその責めに帰することができない場合に含まれよう。

青本
私

天災地変に限られないということですね。これについては過去に短答試験で出題されています。

責めに帰することができない理由のまとめ

責めに帰することができない理由がある場合の救済について、救済の対象となる場合、救済の内容等を以下にまとめます。

条項救済の対象となる場合救済の内容備考
(発明の新規性の喪失の例外)
第30条第4項
新喪例の証明書を提出することができない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に提出することができる。
(パリ条約による優先権主張の手続)
第43条第8項
書類又は書面の提出がない旨の通知があったが、経済産業省令で定める期間内に書類又は書面を提出できない場合。経済産業省令で定める期間内に、その書類又は書面を提出することができる。通知が来て1回目の救済(7項)。
8項は2回目の救済。
(特許出願の分割)
第44条第7項
査定後の分割をすることができない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に分割出願できる。
(出願の変更)
第46条第5項
実用新案登録出願の日から3年を経過して変更出願をできない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に出願の変更ができる。
同上意匠登録出願の日から3年を経過して変更出願をできない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に出願の変更ができる。
(実用新案登録に基づく特許出願)
第46条の2第3項
第1号又は第3号に規定する期間を経過するまでに実用新案登録に基づく特許出願をすることができない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその出願ができる。
(存続期間の延長登録)
第67条の2第3項かっこ書き
第67条第2項の延長登録の出願をすることができない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)を経過する日までの期間(当該期間が9月を超えるときは、9月))以内に延長登録の出願をしなければならない。
(存続期間の延長登録)
第67条の6第4項
政令で定める処分を受けることができないと見込まれる場合に所定の書面を提出できない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、1月)以内で同項に規定する日の後2月以内にその書面を提出することができる。
(特許料の納付期限)
第108条第4項
特許料を納付することができない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその特許料を納付することができる。
(既納の特許料の返還)
第111条第3項
特許料の返還の請求をできない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内にその請求をすることができる。
(特許料の追納)
第112条第2項
第4年以後の各年分の特許料の納付期間又は納付の猶予後の期間内にその特許料を納付することができない場合。割増特許料を納付することを要しない。
(拒絶査定不服審判)
第121条第2項
拒絶査定不服審判を請求できない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に請求をすることができる。
(再審の請求期間)
第173条第2項
再審を請求できない場合。その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内に請求をすることができる。「その期間」とは、再審の理由を知つた日から30日
責めに帰することができない理由のまとめ
私

「その理由がなくなつた日から14日(在外者にあつては、2月)以内でその期間の経過後6月以内」のパターンが殆どですね。

このパターンを原則として、残りは例外として覚えるようにすれば楽ですね。

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